Going Faraway

渡辺遼遠の雑記帳

インフレかデフォルトか

私が信じている世界観は、究極的には次の2つにまとめられます。

1. 利子のある借金に依存した経済体制は、永久に経済成長が続くと仮定している

2. しかし、物理的な世界は永久に成長し続けることはできない

現在、多くの先進国では借金を返済する手段が失われつつあります。また、私たち自身の生活を考えてみても、この先消費生活の規模が数倍にも拡大するとは、とても考えられないのではないでしょうか。

しかし、現在の経済は、既に借金という形で将来の拡大を約束してしまっています。それが果たせないとなった時には、取りうる手段は2つしかありません

つまり、タイトルに書いた「インフレ」か「デフォルト」のどちらかです


この2つのうち、政治的に取りうる手段はインフレ以外にありえないと、私は以前考えていました。
デフォルトの場合は、誰がその引き金を引いたのか、それが発生したタイミングも、有権者の誰にとっても明白に分かります。

一方でインフレの場合、引き金となるのは中央銀行による通貨価値の毀損であるかもしれませんが、それによってインフレが発生する因果関係は明確にはなりませんし、時間的にも原因と結果の間に開きがあります。加えて、インフレの際は得をする人間も居ます。

というわけで、金融経済を物理世界の現実と一致させる手法として、政治的に唯一選択できる手段はインフレしかないと思っていたのだけれど、現在のアメリカの政治的混乱を見ていると、どうもそうとも言えないような気がしてきました。

オチは得にありませんが、現在のアメリカの債務上限をめぐる混乱によって、アメリカがテクニカルデフォルトへ陥りそうになっている状況が興味深かったので書いてみました。