Going Faraway

渡辺遼遠の雑記帳

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

読書メモ:イスラーム人生論 『みんなちがって、みんなダメ』(中田考)

北大生シリア渡航未遂事件で一躍有名になった(?)イスラーム法学者、ハサン中田考先生の新刊。 みんなちがって、みんなダメ 作者: 中田考 出版社/メーカー: ベストセラーズ 発売日: 2018/07/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る イスラームの世界…

書評:『知ってるつもり――無知の科学』(S. スローマン & P. ファーンバック)

とても面白く、また現代的な意義の大きい本である。ぜひ読むことを薦めたい。 しかし、おいそれと内容を要約して紹介することは多少はばかられる本である。なにせ、扱っている内容が「無知」-- 我々は、自分が思っているほどにはものごとを知っていないこと-…

読書メモ:シンギュラリティの宗教性 『Apocalyptic AI』 (ロバート・ゲラチ)

キリスト教神学について僅かなりとも触れたことのある人であれば、特にカーツワイル氏のシンギュラリティの物語と、キリスト教終末論の類似性には即座に気が付くだろうと思う。 慈悲ぶかい超知能AIが神の位置を占め、ナノボットは貧窮と病苦に終止符を打ち、…

書評:ルポ・セラノス事件 『Bad Blood』 (ジョン・カレイロウ)

下手なサスペンス小説よりも面白くて、硬派で難解な本であるものの一気読みしてしまった。ベンチャー企業の詐欺行為を最前線で追求した迫真のルポタージュというだけでなく、「起業家や経営者が語る夢想的で荒唐無稽なビジョン」に対する態度の再考を迫る、…

ハンナ・アーレント『暴力について』の未来学者に関する抜粋

暴力について―共和国の危機 (みすずライブラリー)作者: ハンナアーレント,Hannah Arendt,山田正行出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2000/12/09メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 16回この商品を含むブログ (17件) を見る アーレントは、人間が…

書評:『サイバネティクス全史』(トマス・リッド)

「サイバー」という語の起源と変遷を辿ることでさまざまな技術史と技術の文化史を統一的にまとめ上げる、ポピュラーサイエンス本かくあるべしというお手本のような本。二匹目のどじょう狙いのようなあからさまなタイトルによって、むしろ本書の企画のオリジ…