Going Faraway

渡辺遼遠の雑記帳

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

書評:リベラル派によるリベラル批判の書 『リベラル再生宣言』(マーク・リラ)

最近では、日本でもアメリカでも、「リベラル派」は何となくうさん臭いものと思われている傾向があるようだ。「自由」を旗印に掲げながらも、その自由はリベラル派自身のみにしか適用されず、意見の異なる他者には極めて権威主義的に振る舞う態度を指摘され…

書評:タコであるとはイカなることか『タコの心身問題』/『Other Minds』(ピーター・ゴドフリー=スミス)

タコはとても知能が高い。なにせ、ワールドカップの優勝国を予想できるくらいなのだから…という冗談はさておき、本書『Other Minds』は、タコとイカに魅了された哲学者による、知能と意識の起源についての探究である。 Other Minds: The Octopus, the Sea, a…

読書メモ:オピオイド危機あるいは"ピル"ビリー・エレジー 『Dopesick』 (ベス・メイシー)

現在アメリカでは薬物中毒が深刻な社会問題となっていると、おそらく一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。過去20年の間に、700万人以上が薬物中毒となりそのうち20万人以上が死亡した。50代以下の若年層では、既に交通事故や銃器による年間の死者数…