Going Faraway

渡辺遼遠の雑記帳

『シンギュラリティ教徒への論駁の書』自選10記事

過去、『シンギュラリティ教徒への論駁の書』で書いた記事の中で、自分が気に入っているものをまとめておきます。 

『論駁の書』の論旨に沿って時系列でまとめているので、以下の記事だけでも私のシンギュラリティ懐疑論の骨子が理解できると思います。

問題の難易度と複雑性の指数関数的な増加が、指数関数的的な成長をオフセットしてしまう…「指数関数的な加速論」に対する、わりと本質的な批判だと思う。

ブログ初期のヒット作。「進歩」が加速しているという説を反駁しつつ、第2部のテーマである「停滞と没落」の予告も盛り込んだ意欲作。(ちなみにこのころは、すぐに2部を始める予定だったのです)

マインドアップロードの難易度の見積もりの過小評価に対するわりと根本的な批判だと思う。

リスクマネジメントにおける「(期待値)=(発生確率)x(インパクト)」の議論を、発生確率が極小でインパクトが無限大の事象に適用すると、途端に非合理的な結論が生じる、という状況を指して「パスカルの賭けの誤謬」という言葉を造語してみた記事。

純粋な情報分野ではない、社会インフラや生命科学や制度の変化には時間を要する。そういった状況を「質量」の大きさにたとえて、「社会の慣性の法則」という語を造語してみた記事。

ありがちな話ではあるけれど、「なぜ地球外知的生命体が観測できないのか」という「フェルミパラドックス」の宇宙論に関する話から、資源減耗と環境問題について話を繋げ、人類文明の行く末について論じられたので、古い知人からの評判が良かった。

氏の過去発言をまとめただけだけど、氏の予測に対する根本的な批判になっていると思う。

たぶん、全エントリの中で一番時間の掛かった労作。しかし、労力のわりにあまりバズらなかった哀しい記事。

「性格の悪さがにじみ出ている」と言われた記事。それでも、「認知的不協和」理論の実社会での事例として面白いと思っている。ちなみに、『論駁の書』の目次ページの日付を2045年「12月21日」に設定しているのは、この本へのオマージュだったりする。

最後は翻訳記事。「知能爆発」 説に対する極めて本質的かつ決定的な反駁だと思う。かなり有名な人工知能研究者にも読まれ、数ヶ月経っても未だにシェアされ続けているので、訳した甲斐があったと思う。