Going Faraway

渡辺遼遠の雑記帳

スクール・ライブラリ・ジャーナルが選ぶ2018年ティーン向けの一般書 (ノンフィクション部門)

今年読んだ洋書の評判や翻訳出版状況を調べている間に、こんなリストを見つけました。私自身はほとんど未読ですが、面白そうな本が多かったのでここで紹介します。ティーン向けの本ということで、英語の語彙もそれほど難しくなさそうなので、あまり洋書を読んだことがない人にもおススメします。


 American Prison: A Reporter's Undercover Journey into the Business of Punishment

American Prison: A Reporter's Undercover Journey into the Business of Punishment

American Prison: A Reporter's Undercover Journey into the Business of Punishment

シェーン・バウアーは著名な調査ジャーナリストで、彼が(実名を明かして)ルイジアナ州の民間の刑務所の時給9ドルのアルバイト刑務官として働いた経験を執筆した潜入ルポ。アメリカでは企業の運営する民間刑務所が数十億ドルの産業になっているが、そのような刑務所では囚人の健康や更生に注意を払うインセンティブがないため囚人は非人道的に扱われており、またバウアー自身も刑務官として働くうちに、囚人に対して残酷に、攻撃的になっていったのだという。

Well-Read Black Girl: Finding Our Stories, Discovering Ourselves

Well-Read Black Girl: Finding Our Stories, Discovering Ourselves

Well-Read Black Girl: Finding Our Stories, Discovering Ourselves

「Well-Read Black Girl」は有名なブッククラブで、その創立者グローリー・エディム編集した黒人女性作家による読書エッセイのコレクション。「自分自身のために書かれたかのように感じる文学作品のキャラクター」との出会いについて扱ったエッセイだそう。

3 Kings: Diddy, Dr. Dre, Jay-Z, and Hip-Hop's Multibillion-Dollar Rise

3 Kings: Diddy, Dr. Dre, Jay-Z, and Hip-Hop's Multibillion-Dollar Rise (English Edition)

3 Kings: Diddy, Dr. Dre, Jay-Z, and Hip-Hop's Multibillion-Dollar Rise (English Edition)

 自主レーベルでのアルバム公開からキャリアをスタートさせ大スターとなった3人のヒップホップアーティスト、ディディ、ドクター・ドレ、ジェイ・Zの生涯を追い、またテレビや映画、ファッションからテクノロジーまで、いかにしてヒップホップが世界を変えたかを描き出す。

When They Call You a Terrorist: A Black Lives Matter Memoir

When They Call You a Terrorist: A Black Lives Matter Memoir

When They Call You a Terrorist: A Black Lives Matter Memoir

パトリッセ・カーン=カラーズはロサンゼルス出身の芸術家で、ブラック・ライブズ・マター運動の創始者。本書は彼女の自伝だそうで、警察と司法制度から残虐に扱われ、テロリスト扱いされた子供時代の経験を描いている。黒人女性版『ヒルビリー・エレジー』との呼び声もある。

Heavy: A Memoir

Heavy: An American Memoir

Heavy: An American Memoir

小説家、エッセイストのキース・レイモンによる自伝。幼少期の性的虐待や家族の薬物中毒など複雑な生涯を告白し、それを通してアメリカのモラル荒廃を問う。

Basketball: A Love Story

Basketball: A Love Story

Basketball: A Love Story

 今年放送された同名のドキュメンタリー番組をベースとした本。著名選手へのインタビューをもとに、バスケットボールの歴史から文化的な側面までを描き出している。

I’ll Be Gone in the Dark: One Woman’s Obsessive Search for the Golden State Killer

I'll Be Gone in the Dark: One Woman's Obsessive Search for the Golden State Killer

I'll Be Gone in the Dark: One Woman's Obsessive Search for the Golden State Killer

 1970年代~1980年代にかけてカリフォルニア州を恐怖に陥れた連続強姦殺人犯、通称「ゴールデン・ステート・キラー」事件の真相を追跡するノンフィクション。なお、著者のミッシェル・マクナマラは2016年に薬物中毒で亡くなっており、これが彼女の遺作であるという。なお、この事件の犯人は今年4月に逮捕されたそうだ。

Dopesick: Dealers, Doctors, and the Drug Company That Addicted America

Dopesick: Dealers, Doctors and the Drug Company that Addicted America

Dopesick: Dealers, Doctors and the Drug Company that Addicted America

 アメリカのオピオイド危機、その始まりから現在までを描くルポ。このブログで既に取り上げたのでそちらを参照。

 The Displaced: Refugee Writers On Refugee Lives

The Displaced: Refugee Writers on Refugee Lives (English Edition)

The Displaced: Refugee Writers on Refugee Lives (English Edition)

 ヴィエット・タン・グエンはベトナム出身の元難民のジャーナリスト。2017年1月に、トランプ大統領が難民受け入れ停止と厳格な入国審査を求める大統領令に署名したことを受けて、同じような「元難民」という境遇の人々のエッセイを集めたアンソロジー

So You Want To Talk About Race

So You Want to Talk About Race

So You Want to Talk About Race

白人の特権、警官の暴力、悪意の無い小さな差別的言動(マイクロアグレッション)からブラック・ライブズ・マター運動まで、アメリカの人種問題について語る上での必読書であるという。

Spying on Whales: The Past, Present, and Future of Earth’s Most Awesome Creatures

Spying on Whales: The Past, Present, and Future of Earth's Most Awesome Creatures

Spying on Whales: The Past, Present, and Future of Earth's Most Awesome Creatures

 クジラはこの惑星上で最も大きく、最も知的で、最も深くまで潜る生物である。クジラは、陸を歩き回る犬くらいの大きさの生き物から、魚のように泳ぎ我々のように呼吸する生物へと進化し、その体重は30万ポンド、寿命は200年にも達する。なぜクジラはそんなに大きくなったのか? なぜ彼らの祖先は陸から海へ帰っていったのか? そんなクジラの不思議な生態と進化の謎に迫る本。

We Matter: Athletes and Activism

We Matter: Athletes and Activism (Edge of Sports)

We Matter: Athletes and Activism (Edge of Sports)

 元NBA選手、イータン・トーマスが50人以上のアスリート、エグゼクティブ、メディア関係者に対して人種・政治問題に関するインタビューを行い、また彼自身のエッセイと批評を加えた作品。

The Girl Who Smiled Beads: A Story of War and What Comes After

Das Maedchen, das Perlen laechelte: Von der Macht der Geschichten in Zeiten des Krieges

Das Maedchen, das Perlen laechelte: Von der Macht der Geschichten in Zeiten des Krieges

クレメンティン・ワマリヤは、6歳でルワンダ虐殺に遭遇し、その後の6年間、15歳の姉クレアと共に、安全を求めてアフリカの7つの国をさまよった。12歳の時、彼女はアメリカで難民として認定され、後にイェール大学を卒業しアメリカンドリームを勝ち取る。それでも、人間以下の存在として扱われ、飢えと死の淵をさまよった日々の記憶は決して消すことはできない… 子供にとっての戦争とはいかなる意味を持つのかを問う、彼女の半生記である。

Educated: A Memoir

Educated: A Memoir (English Edition)

Educated: A Memoir (English Edition)

アイダホ州の山脈に囲まれた田舎で生まれたタラ・ウェストオーバーは、モルモン教徒で、文明崩壊に備え社会から孤絶した自給自足生活を送るサバイバリストの両親のもとで育った。教育や現代医療を否定し、初めて学校に入ったのは17歳のときであった。その後、ケンブリッジハーバード大学で学ぶ機会を得られたものの、次第に家族とは不和になっていく… 教育がいかに彼女を救ったかを描く回顧録である。

he Making of a Dream: How a Group of Young Undocumented Immigrants Helped Change What It Means To Be American

アメリカには「ドリーマーズ」と呼ばれる人々がいる。幼いころにアメリカに連れられ、あるいは送られ、法的な移民の身分や市民権を持たないまま成長した人々である。帰るべき祖国もなく、とはいえアメリカ市民でもない「移民」たちを取り上げたノンフィクション。